あるくんボードの生れるまで
現在21歳のひとり娘は、明確な病名はなく脳原性移動障害と診断を受けています。
筋肉量が少ないのと、とにかく運動的な感覚が弱く、自らどんどん動いて体の使い方を学んでくれる子供ではありませんでした。
それでも、お座りも這い這いも母親の私が協力することで、十分ではないけれど、体の使い方として覚えて、なんとか6歳で独歩ができるようになりました。
歩くようになっても、筋力的には不十分で体を固めてやっとバランスを取って歩いていました。
より良く歩く。長く歩く。は私たち親子にとって、ずっと本当に難しい課題でした。
課題について考えて頑張り続けていましたが、小学校4年生で側弯症(そくわんしょう)が発症して、さらに中学3年生の時に腸閉塞で手術を受け、3カ月間ベッドで過ごす、長期病気療養の期間がありました。
10㎏以上やせ細った体は筋力をなくして、このまま寝たきりになってしまうのかと思ったほどでした。
回復を目指して、歩くことを頑張っていましたが、急速に側弯症が悪化して湾曲(ゆがみ)の状態から回旋(ねじれ)の状態になってしまいました。
そのまま頑張っていても、より良く歩く。長く歩く。は目標に近づくどころか、かえって体のバランスを悪化させているようでした。
そこで、改めて筋力低下で歪んでねじれた体の可能性を見つめ直し、無理せず効果的なアプローチを考える必要がありました。
ひたすら側弯症と向き合って、上半身のバランスと筋力、下半身のバランスと筋力を考え続ける中で、娘が歩きだしてからずっと課題だった足首足裏を鍛える方法にまで、行き着くことができました。
それがあるくんボードです。
あるくんボードは、娘のように筋力が弱く、不安感が強い方にも挑戦しやすく効果を得られるように考えたものです。
娘の体を改善する方法を、模索する中で人間の骨格について考え、いろいろな人の姿勢についても観察しました。
そして、娘の体を改善に導くために必要だったことは、加齢や病気による筋力低下で姿勢を悪化させ歩行を難しくする人の持つ課題と全く同じだと気付いたのです。